2012年1月10日火曜日

現代パイオニア歴伝

ツイッター創立者が新たに生み出すシンプルなシステム━━現代パイオニア歴伝
フェイスブックの創立者マーク・ザッカーバーグに比べ、知られていることが意外に少ないツイッターの創立者、ジャック・ドーシーの素顔とは?


ジャック・ドーシー Getty Images
最 近ニューヨークのカーサービスで、ドライバーがiPhoneに超小型のリーダーを挿して、クレジットカードで代金を受け取るようになった。画面にメールア ドレスを入力するとレシートが受信箱に届く。なぜこれまで誰も考えつかなかったのか?というシンプルなイノベーションだけれど、ビジネスにも消費者にも、 画期的に便利なシステムを提供したことは間違いない。

調べてみると、この「スクエア」というサービス、ツイッターの創立者であるジャック・ドーシーが、ツイッターのCEOを退任してから2009年に創立したものなのだという。

その人生をベースに映画までできたフェイスブックの創立者マーク・ザッカーバーグに比べ、ドーシーについて知られていることは、意外に少ない。1976年 生まれの34歳。幼少期から大学の途中までをミズーリ州で過ごし、その後、ニューヨーク大学に編入したが、中退してカリフォルニアに移住した。14歳から コードを書き始め、在学中からプログラマーとして働き始めた。

カリフォルニアでは、タクシーや配送トラックなどの派遣業務をウェブで管理するシステムの企業を立ち上げる一方で、ポッドキャストの会社オデオで働きなが ら、テキストメッセージとインスタントメッセージをヒントに、ユーザーがリアルタイムに自分のやっていることや考えていることをシェアできるサービスのア イデアを考えついた。当時の同僚エヴァン・ウィリアムズとビズ・ストーンが、ドーシーのアイデアに賛同してできたのがツイッターだ。
ドーシーの過去のインタヴューやスピーチを読むと、彼が優秀なエンジニアでありながら、テクノロジー一辺倒の人間でないことがよく分かる。今年1月に放映 されたチャーリー・ローズとの対談では、ツイッターのそもそものアイデアが、ニューヨークの街にインスピレーションを受けて生まれたことを明らかにした。

最初のビジネスで都市のビジュアル化を試み、そこに市民の姿が見えなかったことで、人がリアルタイムの情報をアップ、共有するサービスを思いついたという のだ。ツイッターしかり、スクエアしかり、ドーシーの関わってきたビジネスが実現しようとするアイデアは決して複雑なことではない。けれどもそれをシステ ムとして実現することが、技術的にシンプルなこととは限らない。

例えば「スクエア」の場合、システムを実現するのは予想以上に難しかったという。「シンプルなものを作ることは、とにかく複雑なんだ」とコメント。「僕の ゴールは、複雑なものをシンプルにすること。基本的な人間同士の相互作用をシンプルにするシステムを作りたいだけなんだ(中略)。最大の力は、物事をシン プルにする能力。その作業がいちばん好きだ。複雑なモノを作るのも好きだ。テクノロジーからすべてを取り払う、つまりコンセプチュアルながらくたを取り除 くことで、重要なことに集中できる、それが好きなんだ」。

佐久間裕美子
慶応義塾大学を卒業後、渡米し、エール大学で修士号を取得。ロイター通信などを経て、2003年からフリー。テーマは社会、文化、旅、人。http://www.yumikosakuma.com

http://gqjapan.jp/

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